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Archive for 6月, 2013

社会にインパクトを与えるクラウドアプリのビジョンと情熱

去る6/17日のAppExchangeカンファレンスにて、掲題のタイトルでプレゼンをおこないました。その要旨をこちらにまとめておきます。

クラウドサービス、使っていますか?会社で。

Dropbox, Evernote, SlideShareは今や誰もが知るクラウドサービス。しかし、多くの企業では利用が禁止されているのではないでしょうか? その理由は下記のようなものでしょう。

  • 外部に情報を保存してはならない
  • 情シスが管理できない
  • プラットフォームとしてセキュリティレベルが低い、または不透明である

IaaSやPaaSといった初期投資削減ソリューションによって、ベンチャーが運営するクラウドサービスは今や星の数ほどもありますが、前述の3社でも超えられない壁(企業システムでの利用)を超えるのは非常に難しいと思います。

一方、ちょっとおこがましいですが、Salesforce.comは「企業で使ってもいい」クラウドサービスとして認知されているのではないかと思います。その理由は10年以上に及ぶ国内外での実績、そして実際プラットフォームとしてセキュリティレベルが極めて高く、多くの厳しいRFI/RFPに対して満足いく回答ができるという点にあると考えています。

Salesforce.comはアプリケーションだけでなく、そのプラットフォームをForce.comとして公開しています。そのプラッフォーム上で構築されたアプリはプラットフォーム側の「セキュアで実証済み」という恩恵をそのまま受けることができます。しかも個別のアプリのセキュリティレベルについては、すべて「セキュリティレビュー」という監査を手作業でおこない、脆弱性の有無をすべからく検査しています。

AppExchangeへのアプリケーション掲載は、Androidのアプリをマーケットプレイスに出すより幾分面倒なプロセスを経る必要がありますが、逆にAppExchangeに掲載されているアプリケーションはすべてSalesforce.comが考えるセキュリティレベルをパスしているということになります。

 

セキュアなクラウドが力を発揮する領域

そのセキュアなForce.comを活用してどのようなビジネスを狙っていくべきでしょうか? 一つの例として医療/介護という分野があると考えています。

一口に医療/介護といっても電子カルテ、レセプト、論文整理、薬剤検索、放射線累線量算出アプリ、診断サポートアプリ等様々なアプリが存在します。

そんな中、新しい価値を生む医療アプリとして株式会社コーネッツさんが提供するSafe HRがあります。これは医療情報をセキュアなクラウドに保存することで医師と看護師などスタッフをつなぎ、これまで不可能だった遠隔地診療等の新しい形に踏み出しています。

このようにiPad + Cloudで新しい、便利、というだけでなく、看護師の負担を軽減しつつ、これまでできなかった診療を可能にする、というのはアプリケーションとして本当にすばらしいことだと思います。

僕はテクノロジーに軸足をおいたエンジニアとしてキャリアを重ねてきましたが、キャリアを積むごとに、単にテクノロジーの深堀りと啓蒙をおこなうのではなく、テクノロジーで世界をどう変えるのか、どう社会に貢献するのかという関心が高くなってきました。

医療は個人的にも大きな関心事であり、Force.comが高い適性を発揮する分野だと思っていました。僕はどのようにしてこの医療の分野でもっとインパクトを出すことができるだろうか、と考えました。

医療の主役は患者/被介護者。彼らの医療の受け方を変えるようなアプリを作れないか、と考えていましたが、Force.comをベースとして考えた場合、彼らに課金することは現実的ではないし、彼らのユーザーアカウントを医療機関に課金することも難しい。

そこで、一旦社会貢献と事業を切り離してはどうかと考えました。

少し話しはかわりますが、Salesforceの社員は年間就業時間の1%を使って非営利社会貢献活動をすることができます。私もSalesforce foundation活動の一環でいくつかのボランティアに参加してきました。乳児院の窓ふき、被災地への救援物資パッキング、養護施設の子供達へのクリスマスプレゼント。

しかし、正直、少し腑に落ちない点がありました。自分の中に感じる潜在的な社会貢献力と、活動にギャップを感じていたのです。僕だけでなく、Salesforce.comの社員はいわゆるITエキスパートです。自分達がおこなうからこそもっと効果的に大きなインパクトを生む、そういう活動があるはずだと感じていました。

 

Pro bono活動

Pro bonoとは、ラテン語で「pro bono publico」に起源を発する言葉で、専門家がその専門能力を発揮して社会貢献活動をおこなうことを意味します。

僕はこのPro bonoというアクティビティを知り、自分のアプリケーション開発の特殊技術、および、エバンジェリストとして人の心にインパクトを与えるという技術、これらを使って非営利社会貢献活動をおこなうことに可能性を感じました。

6月17日、僕はいつものようにプレゼンテーションをおこなう機会に恵まれました。その中で、来場者の皆さんに対してSalesforce.comを活用した社会貢献活動の可能性をお話し、その輪を広げることは、まさに僕にこそできるPro bono活動の一つだと考えました。

 

Salesforce.comの1/1/1モデル

Salesforceには社会貢献活動をサポートするいくつかの仕組みがあります。その一つにNPO向けのライセンス無償提供およびDeep Discountがあります。

この仕組みを利用して、パイオニアとして社会貢献活動を事業としておこなっているのが株式会社ファンドレックスさんです。ファンドレックスさんはSalesforce.comの社会貢献活動向け特別エディションを活用し、NPOが寄付金および寄付金提供者とのコミュニケーションを管理するためのパッケージを提供されており、そのコンサルティングを実施されています。

株式会社ファンドレックスのホームページ

僕自身、NPO向けの特別なライセンス形態に魅力を感じ、悩んでいた課金に関する問題を解決する突破口が見えたように思いました。

そこで、このライセンスを使って利用できるアプリケーションの作成に取りかかりました。

 

みんなの医療記録

バイタルデータをクラウドに保存して看護師/介護士と医師をつなぐというアイデアに着想し、さらに「医療は患者・家族が主役」という考え方を盛り込みました。みんなの医療記録は医療スタッフがForce.comで患者さんの医療記録を保存しつつ、患者、家族がChatterによってこれまでになかったコミュニケーションをはじめることができる、というアプリです。

使い方と機能の概要

  • 医療スタッフが患者およびその家族を登録する。
  • 医療スタッフはタブレットデバイスで患者の検査項目を入力する。検査結果は視覚化(グラフ化)される。
  • 検査結果がしきい値を越えた場合はタイムラインにアラートが出力され、医療スタッフおよび家族はすぐに確認することができる。
  • 検査結果だけでなく、患者の日々の様子、家族の様子を写真とともにタイムラインにアップできる。介護施設の祖父母と離れた場所に住む子や孫、あるいは入院中の患者と家族とのコミュニケーションを活発にする。

複雑な仕組みではありませんが、常に家族の健康状態を把握する、日々の生活に楽しみを生み出す、そして、ふとした医療スタッフ側からの投稿により、気がついたら半年、一年と会う機会のなかった家族が話するきっかけを作る。そんなことを実現できれば、と考えています。

このアプリはリリースするにはもう少し時間が必要ですが、必ず近いうちにAppExchangeに公開しようと思っています。NPOで活用されるシーンを想像すると開発も加速します。

この記事をここまで読み進めていただいた方々にお願いです。

既存のSalesforce.com アプリケーションパートナー様へ

NPO(特定非営利活動法人)向けの特別価格設定を検討ください。AppExchangeの製品紹介ページはNPO向けのディスカウント価格を設定できるようになっています。NPOでは思いがけないユースケースが存在します。意図せずとも、皆様の優れたアプリはそのまま社会に貢献するかもしれません。

草の根開発者の皆様へ

社会貢献を意識したアプリケーションを開発しませんか? Salesforce.comのプラットフォームは開発環境は無償、NPO向けであれば10ライセンスまで無償で本番環境のライセンスを提供できます。社会貢献を目的とした場合、これほど適したプラットフォームは他にないと思います。

僕自信、今後も継続してこの活動をつづけていきたいと考えています。この輪が広がることを想像しながら。

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Written by 中嶋 一樹

6月 26th, 2013 at 4:29 pm

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